肌・老け見え

40代男性の毛穴が目立つのはなぜ?皮脂・肌の弾力との関係を原著で整理

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自然な室内光の中で横を向く30〜40代の男性

朝、鏡を見て鼻や頬の毛穴が気になる。調べると「開き毛穴・黒ずみ毛穴・たるみ毛穴」という分け方が出てきて、タイプ別の対策まで並んでいる。それでも、自分がどれなのかは決まらない。

このページでは、顔の毛穴が目立って見えることについて、査読を経た原著論文が報告していることだけを扱います。

このページで扱うこと、扱わないこと

扱うのは、毛穴の見え方に何が関連していたか、それをどんな集団で、どう測った研究が報告したのか、という範囲です。

扱わないことを先に挙げます。あなたの毛穴がどのタイプかの判定はしません。診断もしません。鏡を見て自分で見分ける方法も示しません。毛穴が黒く見えることについて、原因の特定もしません。施術や商品の優劣も扱いません。

先に断っておくことが2つあります。

ひとつは対象です。今回参照した研究に、40代男性だけを対象にしたものはありませんでした。韓国やドイツ、中国で行われたもの、女性だけを対象にしたものが含まれます。数値を引くときは、その都度どんな集団だったかを添えます。

もうひとつは言葉です。世の中で「黒ずみ毛穴」と呼ばれているものと、医学の文献にある開放性面皰(毛穴に角質と皮脂が詰まって黒く見える状態で、ニキビの研究で扱われるもの)は、同じものとして扱えません。角栓や面皰について調べた文献はありますが、それはニキビの研究です。毛穴が目立つことを調べた研究ではありません。そして、今回確認した拡大毛穴の原著には、黒く見える原因を調べたものがありませんでした。だからこのページでは、黒さの原因を書きません。

肌全体の状態(乾燥・テカリ・毛穴・赤み)の分け方については40代男性の肌は何から整える?で別に整理しています。このページは毛穴だけを扱います。

毛穴が「目立つ」とは、何を見ているのか

「毛穴が目立つ」という言い方には、少なくとも2つの話が混ざっています。毛穴そのものが大きいという話と、それが目についてしまうという話です。研究が測っているのは前者だけではありません。

女性160名の右頬を調べた研究では、毛穴の見え方を面積だけでなく、毛穴の密度や周囲とのコントラストでも評価しています。拡大した毛穴では、面積の差が最も大きかったものの、密度も高く、コントラストも強いという結果でした。ただしこれは化粧品会社(Laboratoires Clarins)の研究者を含む研究で、対象は女性のみ、評価したのは右頬だけです。男性に当てはまるかどうかは、この研究からは言えません。

顔の見え方を要因に分けるという同じ作業を、目の下の暗さについては40代男性の目の下のクマはなぜ暗く見える?で別に行っています。扱っている軸が違うので、内容は重なりません。

原著が報告している要因

毛穴について、査読付きのレビューが原因を3つに整理しています。皮脂の過剰な分泌、毛穴の周りの弾力の低下、そして毛包の体積の増加です。レビューはこう整理している、ということであって、読者が自分をどれかに当てはめるための分類ではありません。同じレビューは、拡大した毛穴は医学的な問題ではなく美容上の関心事であり、明確な定義と原因は解明されていない、とも書いています。

ここから先は、そのレビューではなく原著が何を報告していたかを並べます。原著で複数の報告があったのは皮脂で、肌の弾力との関連を示した研究もありました。

皮脂

男女30名ずつ、計60名を調べた研究が、毛穴のサイズと最も相関したのは皮脂量だったと報告しています。皮脂量はSebumeterで測り、毛穴はダーモスコピックビデオカメラで撮った拡大画像を画像解析で計測したものです。重回帰分析で毛穴サイズと有意に関連したのは、皮脂量、性別、年齢の3つでした。

別の、やはり男女30名ずつを調べた研究でも、皮脂の分泌は毛穴と正の相関を示しています。

皮脂そのものの量については、20歳から74歳までの300名を測った研究があります。男性の皮脂量は常に女性より高く、加齢でも安定していました。女性は加齢とともに漸減します。ただしこの研究は皮脂を測ったもので、毛穴を測っていません。男性の皮脂量が多いことと、男性の毛穴が目立つことを、ひとつの因果としてつなげることはできません。

ここに挙げたのはいずれも相関です。皮脂を減らせば毛穴が小さくなる、という介入を調べた研究ではありません。

肌の弾力

先の60名の研究では、Cutometerで測った弾力のパラメータR7が、毛穴と負の相関を示しました。弾力の数値が低いほど毛穴が多い、という方向です。R7は特定の測定項目であり、「肌の弾力」一般の指標として読み替えられるものではありません。

女性160名の研究は、構造の側からも報告しています。拡大した毛穴では真皮と上皮の境界が不整で、表面から深い層にかけてのコラーゲンの減衰が大きいという所見です。こちらも化粧品会社の研究者を含む、女性のみの研究です。

顔全体のたるみについては顔のたるみが気になる30代・40代男性へで別に扱っています。このページで出てくるのは、毛穴の周りの弾力の話だけです。

毛・毛包との関係を報告した研究もある

同じ女性160名の研究は、拡大した毛穴で最も顕著だった変化として、毛包の周囲にある明るい管状の構造と、毛軸の太さを挙げています。著者は、皮膚の張力の変化が毛漏斗の拡張と毛軸の太さにつながるという仮説を示しています。

仮説です。確定した仕組みではありません。報告した研究もある、という以上のことは、今回確認した範囲では書けません。

男性では何が分かっているか

毛穴のサイズと有意に関連した要因のうち、皮脂量に次いで相関が強かったのは、男性であることでした。先の60名の研究の結果です。皮脂量と毛穴サイズの相関を男女で分けると、男性がr=0.47、女性がr=0.38でした。

もう一方の60名の研究でも、男性であることは毛穴の数の多さと相関しています。

中国で1,000,568名を調べた研究も、顔の4つの部位すべてで男性のスコアが女性より高かったと報告しています。差が最も大きかったのは鼻(26%)で、最も小さかったのは頬(4%)でした。スコア自体は頬が最も高く、鼻が最も低いという結果です。

この3つ目の研究には、読むうえで押さえておくことがいくつかあります。スマートフォンアプリの利用者が自分で撮った写真をAIで採点したもので、採点は皮膚科医の採点と照合されています(一致を見る指標であるクラス内相関係数で0.79〜0.92)。応募は自己申告で、男女比は約1対9。40代男性は5,172名で、全体の0.5%ほどです。著者にはEstée Lauder社の研究所の所属者が含まれ、資金もEstée Lauder社から出ています。利益相反の欄には「利益相反はない」と書かれていて、同じ論文の謝辞に著者8名が同社の社員であることが記載されています。人数が多いことは、それだけでこの結果を強くはしません。

男性のほうが毛穴が目立ちやすい、という方向の報告が複数あるのは事実です。ただし、ここに挙げた数値はいずれも40代男性について測られたものではありません。

年齢との関係は単純ではない

年齢については、報告が揃っていません。

60名を調べた1つ目の研究は、毛穴サイズが年齢と有意に関連したと報告しています。

ほぼ同じ規模で測った2つ目の研究は、年齢と毛穴の明確な関係を示さなかったと報告しています。

中国の大規模な研究は、男性では22歳から毛穴のスコアが漸増し、40代に入ると横ばいになったとしています。女性では40歳から44歳にかけて再び上昇します。

並べて言えるのはここまでです。年齢のせいだと決めつけることも、年齢は関係ないと切り捨てることも、今回確認した原著からはできません。

洗顔・保湿・「毛穴を閉じる」について確認できなかったこと

ここは、書けなかったことの節です。

洗顔で毛穴のサイズが変わるかを検証した原著を、今回の検索では確認できませんでした。洗浄料の種類や洗う回数についても同じです。

保湿で毛穴のサイズが変わるかを検証した原著も、確認できませんでした。

毛穴が温度や蒸気で開き、冷やすと閉じるという、開口部のサイズの変化を測った原著も、確認できませんでした。

「開き毛穴・黒ずみ毛穴・たるみ毛穴」という分け方を使った原著やレビューも、確認できませんでした。文献の側にあるのは、先に挙げた3つの「原因」の整理で、それは読者が自分を当てはめる型ではありません。

いずれも、今回の検索では確認できなかった、ということです。そうした研究が存在しないという意味ではありません。

研究で測られていることと、自分で決められないこと

研究では、皮脂・弾力・毛穴の見え方を機器で測っている

ここまで出てきた研究が何を使っていたかを並べます。

皮脂量はSebumeter。弾力はCutometer。毛穴はダーモスコピックビデオカメラで撮った拡大画像の画像解析、専用の肌画像解析装置、標準化した条件での撮影に生体内反射共焦点顕微鏡と光干渉断層撮影を加えたもの、そしてアプリで撮影した写真のAI採点。見え方の側では、面積、密度、コントラストが別々に測られていました。

これは研究上の測定項目です。読者が自分で確認できる項目という意味ではありません。鏡で分かるものとして並べたわけでもありません。

見た目だけで「自分は何型」と決める分類は確認できない

上に並べた研究は、いずれも機器による測定を含んでいます。見た目だけで型を判定する方法が検証されたという報告を、今回の調査では確認できませんでした。

今回確認できた文献では、見た目だけで自分をどれかの型に当てはめる分類は確認できませんでした。確認できなかったということであり、そうした分類が文献全体に存在しないという意味ではありません。

まとめ

顔の毛穴について、原著では皮脂との関連が複数報告され、肌の弾力との関連を示した研究もありました。いずれも相関で、介入の結果ではありません。

男性のほうが毛穴が目立ちやすいという方向の報告は複数あります。ただし、40代男性だけを対象にした原著は、今回確認できませんでした。

年齢との関係は、研究によって結果が違っています。

洗顔・保湿で毛穴のサイズが変わるかを検証した原著と、毛穴が黒く見える原因を調べた拡大毛穴の原著は、今回の検索では確認できませんでした。

持ち帰れるのは、「自分がどのタイプか」ではなく、「何が分かっていて、何が分かっていないか」のほうです。

参考にした資料

このページは、次の5件の原著をもとに作成しています。いずれも査読を経た原著論文です。著者所属に企業を含むものは、その旨を併記します。

Roh M, Han M, Kim D, Chung K. Sebum output as a factor contributing to the size of facial pores. Br J Dermatol. 2006;155(5):890-894.(男女60名/Yonsei大学皮膚科)

Kim BY, Choi JW, Park KC, Youn SW. Sebum, acne, skin elasticity, and gender difference – which is the major influencing factor for facial pores? Skin Res Technol. 2013;19(1):e45-53.(男女60名/ソウル大学医学部皮膚科)

Luebberding S, Krueger N, Kerscher M. Skin physiology in men and women: in vivo evaluation of 300 people including TEWL, SC hydration, sebum content and skin surface pH. Int J Cosmet Sci. 2013;35(5):477-483.(300名・20〜74歳/ハンブルク大学/毛穴は測定していない)

Zhou H, Xie H, Wu L, et al. An artificial intelligence powered study of enlarged facial pore prevalence on one million Chinese from different age groups and its correlation with environmental factors. Skin Res Technol. 2024;30(9):e70025.(中国1,000,568名/著者にEstée Lauder Companies Innovation R&D (China)の所属者を含み、資金提供も同社)

Nkengne A, Pellacani G, Ciardo S, De Carvalho N, Vié K. Visible characteristics and structural modifications relating to enlarged facial pores. Skin Res Technol. 2021;27(4):560-568.(女性160名/著者にLaboratoires Clarinsの所属者を含み、助成元もClarins)

なお、原因の3分類について引用した総説(Lee SJ, et al. Facial Pores: Definition, Causes, and Treatment Options. Dermatol Surg. 2016;42(3):277-285.)は、原著ではなくレビューです。本文では「レビューがこう整理している」という範囲で触れています。

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