肌・老け見え

40代男性の目の下のクマはなぜ暗く見える?色素・血管・影という3つの要因

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朝、鏡を見て目の下が暗いことに気づく。検索すると「青クマ・茶クマ・黒クマ」という分け方が出てきて、見分け方まで書いてある。けれど、自分がどれなのかは結局わからない。

このページでは、目の下が暗く見える状態をまとめて「クマ」と呼びます。「青クマ・茶クマ・黒クマ」という分け方のことではありません。

このページで扱うこと、扱わないこと

扱うのは、目の下が暗く見える要因について査読を経た原著論文が何を報告しているかだけです。あわせて、その研究が誰を対象にしていたのかも書きます。

扱わないことを先に挙げます。あなたのクマがどの種類かの判定はしません。診断もしません。治療の適否も、受診したほうがよいかどうかも判定しません。自分で見分ける方法も示しません。そういう方法が検証されたという報告を、今回の調査では確認できなかったからです。

もう一つ、先に断っておきます。今回参照した研究は40代男性だけを対象にしたものではありません。女性が多数を占める集団や、日本以外の地域で行われたものが中心です。比率や相関を引用するときは、その都度どんな集団だったかを添えます。

肌全体の状態(乾燥・テカリ・毛穴・赤み)については40代男性の肌は何から整える?で別に整理しています。このページは色と影の話だけを扱います。

目の下の暗さは、原因が一つとはかぎらない

65人のうち78%は、複数が重なっていた

台湾で行われた研究が、目の下の暗さを4つに分類しています。色素性(褐色)、血管性(青〜紫)、構造性、そしてそれらが重なった混合型です。

内訳はこうでした。色素性5%、血管性14%、構造性3%、混合型78%。

つまり、どれか一つだけに当てはまった人は5人に1人程度です。対象は65例で、男性8名・女性57名、平均年齢38.9歳。日本の40代男性における比率ではありません。それでも、「自分はどれか」という問いの立て方そのものが、データとかみ合っていないことは読み取れます。

「寝不足だから」で説明しきれないことがある

米国で100人を調べた研究が、何が重症度と関係しているかを3通りの指標で測っています。本人の不満度、医師による重症度評価、そして色差計による測定です。

睡眠時間は、本人の不満度とだけ弱く相関しました(r=−0.28、p=0.03)。医師の評価とは相関せず(p=0.38)、測色とも相関しませんでした(p=0.25)。体質型に絞った解析でも同じで、睡眠が長い人ほど不満は小さいものの、医師の評価(p=0.76)とも測色(p=0.20)とも関係がありませんでした。

一方で、強い断眠の影響を調べた実験もあります。31時間眠らずにいたあとの顔写真は、40人の観察者から「目の下が暗い」と有意に高く評価されました。ただしこれは見た目の評価だけで、色そのものは測っていません。被写体は10名、19〜32歳のスウェーデン人です。

この2つを並べると、言えるのはここまでです。強い睡眠不足のあと、他人からは暗く見える。けれど、普段の睡眠時間の長短は、測った暗さとは関係していなかった。「寝不足が原因」と片づけられる話でも、「睡眠は無関係」と切り捨てられる話でもありません。

睡眠そのものについては睡眠が肌と髪に与える影響で別に扱っています。目の下の暗さが睡眠で改善するという意味ではありません。

文献で整理されている3つの要因

分類の仕方は研究によって少し違いますが、出てくる成分は共通しています。

先の台湾の研究は、色素・血管・構造(影)の3つと、それらが重なった混合型に分けました。

シンガポールで行われた別の研究では、200例について4つの型の頻度が報告されています。血管型41.8%、体質型38.6%、炎症後色素沈着12%、影効果11.4%。こちらでは血管型が最も多いという結果でした。判定は詳細な病歴聴取と診察、そして3名の皮膚科医による評価で行われ、範囲はメキサメーターで測られています。

同じ研究が、人種によって型の分布が違うことも報告しています。血管型は中国系に、体質型はインド系・マレー系に多く見られました。日本人を対象にした同種の研究は、今回の調査では確認できませんでした。

なお、日本でよく使われる「青クマ・茶クマ・黒クマ」という呼び名は、今回参照したどの原著にも出てきません。呼び名と、研究で使われている区分とを、同じものとして扱わないでください。

それぞれについて、文献で言われていること

血管によるもの

先の米国の研究が型の判定に使った定義では、血管型は「赤みや青い血管が見え、その上の皮膚が薄いもの」とされています。

シンガポールの研究では、この型の頻度が4つのうち最も高く(41.8%)、中国系に多く見られました。

色素によるもの

色素が関わる型は2つあります。体質型は「眼窩縁の形に沿って、上下のまぶたに出る褐色から黒色の帯」。炎症後型は「苔癬化や皮膚の肥厚を伴う、不規則な色素斑」です。

米国の研究では、湿疹の既往がある人ほど、測色による暗さが強いという相関が出ました(r=0.45、p<0.001)。家族歴も同様です(r=0.34、p<0.001)。肌の色が濃い人(Fitzpatrick skin type が高い人)ほど、主観・客観とも重く出ていました。

日焼けについても触れておきます。この研究は職業上・余暇の日照曝露を質問票で集めていますが、重症度と関係する要因としては報告していません。紫外線が目の下の暗さを悪化させるという主張を直接支える原著を、今回の調査では確認できませんでした。そのため、このページでは紫外線を原因として書きません。

影によるもの

影による型は、「張り出した瞼板筋、目袋、または深いtear trough(下まぶたから頬にかけてのくぼみ)によってできる影」と定義されています。

台湾の研究では、目袋のある14例について、超音波で眼窩脂肪の突出が確認されました。眼窩周囲の腫れがある33例は、対照20例より瞼板前の厚みが大きいという結果も出ています(P=0.032)。

顔のたるみそのものについては顔のたるみが気になる30代・40代男性へで別に扱っています。

なぜ、自分で種類を決められないのか

ここまで出てきた研究が、何を使って型を判定していたかを並べます。

台湾の研究は、Wood灯と超音波を使いました。そのうえで、褐色の色調、色素性病変、青〜ピンク〜紫の色調、眼窩周囲の腫れ、影の色調、目袋、下眼瞼の溝、眼瞼下垂、皮膚タイプという9項目のスコアリングを行っています。

シンガポールの研究は、詳細な病歴聴取と診察に加えて、3名の皮膚科医が判定し、メキサメーターで測定しました。

そして米国の研究には、もう一つ見ておくべき数字があります。医師による重症度評価と、色差計による測定値との相関は r=0.36 でした(p=0.0003)。統計的には有意ですが、強い相関ではありません。

そのうえで、台湾の研究では混合型が78%を占めます。

台湾の研究の結論は、「詳細な分類は医師が適切な治療法を決める助けになる」というものでした。読者が自分で型を決めるための分類としては書かれていません。

今回確認できた原著では、読者が鏡を見ながら自分で種類を判定できることを検証した研究は確認できませんでした。確認できなかったということであり、そうした研究が存在しないという意味ではありません。

自分で確認できる事実と、種類の判定は別

ここから挙げるのは、受診前にやるべきことをPMCが定義したリストではありません。研究が実際に聴き取っていた項目、あるいは重症度と相関していた要因を、そのまま並べたものです。

研究で聴き取られている項目

インドで50例を調べた研究は、病歴として家族歴、アトピーの既往、長時間の画面曝露、化粧品の使用、食事、睡眠パターン、甲状腺疾患を記録しています。この研究では家族歴が14%、アトピーの既往が30%、目の周りのかゆみが32%に認められました。睡眠不足があったのは4例(8%)です。

米国の研究で、測色による暗さと相関したのは湿疹の既往(r=0.45)と家族歴(r=0.34)でした。

変動の仕方も、質問票で尋ねられている

同じ米国の研究の質問票には、症状の持続期間、本人が感じている悪化・軽快の要因、そして時間帯との関係が含まれています。

整理しても、種類が決まるわけではない

これらを思い出しておくことと、自分の型が決まることは別です。上に挙げた研究はいずれも、聴き取りに加えて診察・Wood灯・超音波・色差計・複数の医師の評価といった複数の方法を組み合わせて分類・評価しています。台湾の研究では、その結果の多くが混合型でした。

整理できるのは事実の側だけです。それが何を意味するかは、このページでは扱いません。

まとめ

目の下が暗く見える背景には、色素、皮膚の下の血管、そしてくぼみや膨らみによる影があると報告されています。ただし65例を調べた研究では、どれか一つだけに当てはまった人は22%で、残りは複数が重なっていました。

睡眠時間は、本人の不満度とは相関しましたが、医師の評価とも測色とも相関しませんでした。強い断眠のあとに他人から暗く見えるという実験はありますが、見た目の評価だけです。

型の判定には、Wood灯、超音波、色差計、複数の医師の評価が使われています。医師による重症度評価と色差計による測定値の相関は r=0.36 で、強い相関ではありませんでした。

持ち帰れるのは、「自分がどれか」ではなく「何が分かっていて、何が分かっていないか」のほうです。

参考にした資料

このページは、次の5件の原著をもとに作成しています。いずれも査読を経た原著論文です。

Huang YL, Chang SL, Ma L, Lee MC, Hu S. Clinical analysis and classification of dark eye circle. Int J Dermatol. 2014;53(2):164-170.
Ranu H, Thng S, Goh BK, Burger A, Goh CL. Periorbital hyperpigmentation in Asians: an epidemiologic study and a proposed classification. Dermatol Surg. 2011;37(9):1297-1303.
Lim HGY, Fischer AH, Sung S, Kang S, Chien AL. Periocular Dark Circles: Correlates of Severity. Ann Dermatol. 2021;33(5):393-401.
Mendiratta V, Rana S, Jassi R, Chander R. Study of Causative Factors and Clinical Patterns of Periorbital Pigmentation. Indian Dermatol Online J. 2019;10(3):293-295.
Sundelin T, Lekander M, Kecklund G, Van Someren EJW, Olsson A, Axelsson J. Cues of Fatigue: Effects of Sleep Deprivation on Facial Appearance. Sleep. 2013;36(9):1355-1360.

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