薄毛が気になって医療機関を検討するとき、「何を確認されるのか分からない」と感じる人もいるかもしれません。
このページは、受診をすすめるページではありません。診断もしません。
答えるのは2つです。男性型脱毛症の診療では、何が確認されるとされているのか。そして、その前に自分で整理しておけることは何か。
なお、ここでは日本皮膚科学会のガイドラインの用語に合わせて「男性型脱毛症」と書きます。
このページで扱うこと、扱わないこと
扱うのは、ガイドラインと添付文書に書かれている範囲です。診療で何が確認されるとされているか、処方薬にどんな条件が定められているか、そして受診の前に自分で整理しておけることを整理します。
扱わないのは、あなたが男性型脱毛症にあたるかどうかの判定です。治療の適否も決めません。費用や副作用、受診そのものをすすめるかどうかも、このページでは扱いません。
育毛剤、市販の発毛剤、医師の処方による治療が制度上どう違うかは、育毛剤・市販の発毛剤・処方薬の違いで整理しています。
診療では、何を確認するのか
日本皮膚科学会のガイドラインは、男性型脱毛症の診断について、何をして行うかを書いています。順に見ていきます。
問診 — 家族歴と、脱毛の経過
ガイドラインは、問診により家族歴や脱毛の経過を聴くと記載しています。
聴かれるのは、いまの状態そのものだけではありません。どう変わってきたかと、家族にどうだったかが含まれます。
視診 — 生え際の後退と、毛髪の変化
あわせて、視診により生え際の後退や毛髪の変化を確認すると記載されています。
見るのは頭部ですが、確認の対象として挙げられているのは生え際の後退と毛髪の変化です。
補助的に使われるもの — 拡大鏡とダーモスコピー
ガイドラインは、拡大鏡やダーモスコピーの使用も診断の手助けとなるとしています。
「手助けとなる」という書き方です。必ず使うもの、とは書かれていません。
なぜ、別の原因を確認するのか
「除外することが大切」と記載されている
同じガイドラインは、円形脱毛症の亜型、全身性疾患に伴う脱毛、貧血や急激なダイエットなど消耗性疾患に伴う脱毛、薬剤による脱毛などを挙げ、これらを「除外することが大切である」と記載しています。
抜け毛や薄毛という見え方が似ていても、背景にあるものが違うことがある。だから確かめる工程がある、という構造です。
どれに当てはまるかを、このページでは判定しません
上に挙がっている状態のどれかに自分が当てはまるのかどうかを、このページでは判定しません。
判定に必要なことを、このページがしていないからです。問診も視診もしていません。そして、挙がっている状態はいずれも、それ自体を確かめる工程を要します。「除外」という言葉が指しているのは、まさにその工程です。
処方薬には、処方箋と添付文書上の条件がある
処方箋医薬品は、処方箋の交付を受けた人に販売される
厚生労働省の通知は、処方箋医薬品について、法第49条第1項が「医師等からの処方箋の交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、販売を行ってはならない」と規定していると記載しています。通知は、その「正当な理由」にあたる場合も列挙しています。
添付文書には、効能・効果や適応の範囲が書かれている
フィナステリド製剤の添付文書は、規制区分を処方箋医薬品とし、医師等の処方箋により使用することとしています。効能又は効果は「男性における男性型脱毛症の進行遅延」で、女性および小児等に対する適応はなく、20歳未満での安全性・有効性は確立されていないと記載されています。
書かれているのは、何に対する薬で、どの範囲に適応があるか、です。誰にどの薬が使われるかは、ここには書かれていません。
受診の前に、自分で整理しておけること
ガイドラインが問診で聴くとしているのは、家族歴と脱毛の経過です。この2つは、受診の前に自分の側で思い出しておけます。

※ ガイドラインに記載されている診療の内容と、その前に自分で整理しておけることを並べた図です。このページでは、診断や治療の適否の判定は行いません。
脱毛の経過。いつ頃から気になりはじめたか。そこからどう変わってきたか。
家族歴。家族に同じような変化があったかどうか。
整理しておけるのは、ここまでです。整理した内容が何を意味するかは、このページでは扱いません。
自分で整理できる範囲と、診療で確認される範囲
ここまでを2つに分けます。
自分で整理できる範囲。脱毛の経過と、家族歴。ガイドラインが問診で聴くとしている事項なので、先に思い出しておけます。
診療で確認される範囲。ガイドラインは、視診により生え際の後退や毛髪の変化を確認するとしています。拡大鏡やダーモスコピーの使用も、診断の手助けとなるとされています。あわせて、別の原因による脱毛を除外することが大切であるとも記載されています。処方薬については、処方箋医薬品は医師等からの処方箋の交付を受けた者以外には、正当な理由なく販売を行ってはならないと規定されています。
このページが示せるのは、ここまでです。
まとめ
- 日本皮膚科学会のガイドラインは、男性型脱毛症の診断について、問診により家族歴や脱毛の経過を聴き、視診により生え際の後退や毛髪の変化を確認して行うと記載しています。拡大鏡やダーモスコピーの使用も診断の手助けとなるとされています
- 同じガイドラインは、円形脱毛症の亜型、全身性疾患に伴う脱毛、貧血や急激なダイエットなど消耗性疾患に伴う脱毛、薬剤による脱毛などを挙げ、「除外することが大切である」としています
- 処方箋医薬品は、医師等からの処方箋の交付を受けた者以外には、正当な理由なく販売を行ってはならないと規定されています。フィナステリド製剤の添付文書は、効能又は効果を「男性における男性型脱毛症の進行遅延」とし、女性および小児等に対する適応はないこと、20歳未満での安全性・有効性は確立されていないことを記載しています
- 受診の前に自分で整理しておけるのは、脱毛の経過と家族歴です
- このページは、あなたが男性型脱毛症にあたるかどうかも、どの治療が適切かも判定しません。診療で何が確認されるとされているかを示すところまでです
参考にした資料
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
- プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg 添付文書(医薬品医療機器総合機構)
- 厚生労働省医薬食品局長通知「薬局医薬品の取扱いについて」(薬食発0318第4号、平成26年3月18日)