朝の会議で人と近くで話すとき、ふと自分の息が気になる。毎日歯は磨いているのに、と思いながらも確かめようがない。口臭は、自分ではっきり分からないぶん、不安だけが残りやすい悩みです。
この記事では、男性の口臭の原因を、厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」と日本口腔外科学会の解説、口臭を測った研究をもとに整理します。どんな原因があるのか、自分で整えられることは何か、歯科に相談したほうがよいのはどんなときか、という順に見ていきます。商品のおすすめはしていません。
ワキや頭、体、衣類など、口以外のにおいについては、40代男性のにおいはどこを確認する?ワキ・頭・体・衣類を分けて考えるで扱っています。
口臭はどこから来る?まず原因を分けて考える
e-ヘルスネットは、口臭の大部分は口の中に原因があり、その多くは舌の表面につく舌苔(ぜったい)と歯周病だと説明しています。口の中にいる細菌がたんぱく質などを分解してつくる、揮発性硫黄化合物というガスが、においの主な正体です。
日本口腔外科学会は、口臭を次の5つに分けて解説しています。
- 生理的口臭:誰にでもあるにおい。起床直後、空腹時、緊張したときに強まりやすい
- 飲食物・嗜好品による口臭:ニンニク、ネギ、酒、タバコなどによる一時的なもの
- 病的口臭:歯周病、むし歯、歯石、舌苔、唾液の減少などのほか、鼻やのどの病気などが原因になるもの
- ストレスによる口臭:ストレスで唾液が少なくなって起こるもの
- 心理的口臭:強いにおいがあると自分で思い込んでいるもの
なお、e-ヘルスネットは、ニンニクや飲酒後のにおいのような日常の生活で生じるにおいは「口臭」に含めないことが多いとしています。資料によって分け方が少し違うため、この記事では「一時的なもの」「口の中に原因があるもの」「口の外に原因があるもの」「本人は気にしているが、はっきりした口臭が見つからないもの」という見方で整理します。これは学会の正式な分類ではなく、読みやすくするための整理です。
口の中が原因になるのはどんなとき?
口の中の原因として、資料が共通して挙げているのが舌苔と歯周病です。
舌苔は、舌の表面につく白っぽいコケ状のもので、細菌のかたまりです。e-ヘルスネットによると、においのもとになるガスは舌の上で最も多くつくられます。舌苔のつき方には個人差があり、同じ人でも時間帯や体調によって変わります。
歯周病も代表的な原因です。日本口腔外科学会は、歯周病は初期には痛みがなく自覚しにくいこと、歯を磨くなどのちょっとした刺激で歯ぐきから出血することがあることを説明しています。e-ヘルスネットも、歯周病はほとんど痛みもなく進むとしています。
このほか日本口腔外科学会は、むし歯、歯垢、歯石、唾液の減少、入れ歯の清掃不良、古くなったかぶせものなども、口臭の原因として挙げています。同学会によれば、唾液には口の中を洗い流し、細菌が増えるのを抑える働きがあり、唾液が少なくなると口の中が乾いて口臭が強くなりやすくなります。
一時的な口臭と、続く口臭はどう違う?
口臭は、一日のなかでも強さが変わります。e-ヘルスネットが紹介している日本人2,672人の調査では、食事やうがいなどから時間がたつほど、においのもとになるガスの濃度が高くなっていました。日本口腔外科学会は、起床直後や空腹時、緊張したときに口臭が強まるのは、唾液の分泌が減って細菌が増えるためだと説明しています。
日本口腔外科学会によれば、こうした生理的口臭は、歯磨きや食事、水分をとって唾液が増えることで弱まり、治療の必要はありません。ニンニクや酒、タバコによるにおいも、時間がたてば消える一時的なものです。
一方で、歯周病などの病気が原因の口臭は、原因を治療しないと続きます。日本口腔外科学会は、病的口臭の90%以上は口の中に原因があるとしたうえで、原因の病気を治療することで口臭を減らしたり治したりできるので、診断を受けるよう勧めています。
40代男性が確認しておきたいこと
「男性のほうが口が臭う」「40代になると口臭が強くなる」と言われることがありますが、そうとは言い切れません。
先ほどの2,672人の調査(18〜64歳)を報告した論文では、においのもとになるガスの濃度に、どの年代でも男女の差は見られませんでした。e-ヘルスネットの紹介によれば、年齢が高いほど濃度が高い傾向はあったものの、ほかの要因の影響を除くと年齢は有意ではなくなり、論文の要旨も、年齢は口臭が増える要因ではなかったとしています。関係していたのは舌苔と歯周病の状態です。論文は、若い世代では主に舌苔が、年齢の高い世代では歯周病と舌苔が、口臭の原因になっている可能性を示しています。
つまり、40代で気にしたいのは年齢そのものではなく、口の中の状態です。ここからは、PMC Lab編集部が確認しておきたいと考える項目です。医学的な診断基準ではありません。
- 歯を磨いたときに、歯ぐきから血が出ることがないか
- 最後に歯科で歯ぐきの状態を診てもらったのはいつか
- 鏡で舌を見たとき、白いものが厚くついていないか
- 仕事中に口が乾いている時間が長くないか
- 家族など身近な人から、口臭を指摘されたことがあるか
自分で口臭に気づくことはできる?
自分の口臭を自分で判断するのは、思っている以上に難しいとされています。
e-ヘルスネットは、口臭のように鼻の近くで常に発生するにおいは、嗅覚が慣れてしまうため自己評価しにくいと説明しています。前述の調査でも、口臭の自己評価と、実際に口臭があるかどうかには相関が見られませんでした。強い口臭があっても気づかない人がいる一方で、はっきりした口臭がないのに強く気にしている人もいる、ということです。
e-ヘルスネットが紹介している大学病院の統計では、口臭の検査や治療を求めて受診した人のうち、約3分の1は治療が必要な口臭が認められなかったと報告されています。
自分で手軽にできるチェック法として紹介されているものもありますが、確かめられる根拠を今回確認した範囲では見つけられなかったため、この記事では紹介しません。e-ヘルスネットは、自覚がないのに家族から口臭を指摘されるようになったら、歯周病の可能性があるとして、歯科での検査を勧めています。身近な人の指摘は、手がかりの一つになります。
歯磨き・舌のケア・洗口液でできること、できないこと
歯磨きについて、日本口腔外科学会は、生理的口臭を弱める方法の一つとして挙げています。ただ、においのもとが最も多くつくられるのは舌の上で、歯周病は歯磨きをしていても進むことがあります。「毎日歯を磨いているのに臭う」場合は、歯磨きだけでは届いていない原因があるかもしれません。
舌のケアについて、e-ヘルスネットは、生理的口臭の予防には歯磨きに加えて舌の清掃で舌苔を取り除くことが最も効果的だとしています。紹介されている方法は次のとおりです。
- 鏡を見ながら舌を前に出し、舌の奥に舌苔がついていないか確かめる
- 舌ブラシを見える範囲の奥に軽く当て、手前に引く。力を入れすぎない
- 舌ブラシについた汚れを洗い、汚れがつかなくなるまで繰り返す
- 回数は起床時の1回でよい。それ以上は舌の粘膜を傷つけるおそれがある
- 舌に傷や潰瘍があるときはやめる
洗口液や口臭ケア用品については、口臭への対策を比べた研究をまとめたコクラン・レビュー(2019年、44の試験)が参考になります。舌の清掃、ガム、歯磨き粉、洗口液などを調べたものの、どれも効果を支える根拠の確実性は低い〜非常に低く、どの方法が優れているかは結論できなかったとしています。多くの試験は1〜4週間の短い期間のものでした。
なお、化粧品の歯みがき類で表示できる効能の範囲には「口臭を防ぐ」「口中を浄化する」が含まれています。いずれも「防ぐ」ための効能で、すでにある原因を治すものではありません。歯周病のように治療が必要な原因がある場合は、ケア用品だけで対応しようとしないことが大切です。
歯科や医療機関に相談したい目安
この記事では診断はできません。資料をもとに、相談先の考え方だけを整理します。
口臭の大部分は口の中に原因があるため、相談先はまず歯科になります。次のような場合は、歯科で歯ぐきや口の中の状態を診てもらうことが考えられます。
- 歯磨きや舌の清掃を続けても、口臭が気になる状態が続く
- 歯磨きのときに歯ぐきから出血する
- むし歯や、古くなったかぶせものがある
- 家族など身近な人から口臭を指摘された
日本口腔外科学会は、口の外の原因として、副鼻腔炎などの鼻やのどの病気、呼吸器や消化器の病気、糖尿病、肝臓の病気などを挙げています。e-ヘルスネットは、副鼻腔炎や、ごくまれに肝臓病や腎臓病などが原因になることがあるものの、その場合は口臭以外にも何らかの自覚症状が現れることがほとんどだとしています。歯科で口の中に原因が見つからず、ほかの症状もある場合は、医科での相談も考えられます。
口臭が気になるときに確認したい項目
ここまでの内容をもとに、PMC Lab編集部が確認したい項目を整理しました。国や学会が定めたチェックリストではありません。
| 確認すること | 見るところ |
|---|---|
| 1. 気になる時間帯 | 起床時や空腹時だけか、一日中続くか |
| 2. 直前の飲食 | ニンニク、酒、タバコなどの直後ではないか |
| 3. 舌 | 鏡で見て、白いものが厚くついていないか |
| 4. 歯ぐき | 歯磨きのときに出血しないか |
| 5. 口の乾き | 口が乾いている時間が長くないか |
| 6. 周りからの指摘 | 家族など身近な人から指摘されたことがあるか |
| 7. 歯科の受診 | 歯ぐきや口の中の状態を最近診てもらったか |
よくある質問
歯磨きをしているのに口臭がするのはなぜですか?
においのもとが最も多くつくられるのは舌の上で、e-ヘルスネットでは、歯磨きに加えて舌の清掃を行う方法が案内されています。また、歯周病は痛みがなく進むことがあり、歯磨きをしていても原因が残っている場合があります。舌の清掃を加えても気になる場合は、歯科で歯ぐきの状態を診てもらうことが考えられます。
口臭は胃が悪いことが原因ですか?
資料は、口臭の大部分は口の中に原因があるとしています。e-ヘルスネットは、全身の病気の兆候として現れる呼気の口臭は極めて限定的だと説明しています。日本口腔外科学会も消化器の病気を原因の一つとして挙げていますが、病的口臭の90%以上は口の中に原因があるとしています。まずは口の中の状態を確かめるのが順番です。
舌は毎日磨いたほうがいいですか?
e-ヘルスネットは、舌の清掃は起床時の1回でよく、それ以上行うと舌の粘膜を傷つけるおそれがあるとしています。力を入れすぎず、舌に傷や潰瘍があるときはやめてください。
洗口液を使えば口臭はなくなりますか?
なくなるとは言えません。研究をまとめたコクラン・レビューでは、洗口液を含むさまざまな対策について、効果を支える根拠の確実性は低い〜非常に低いとされています。歯周病などの原因がある場合は、その治療が必要です。
男性のほうが口臭は強いのですか?
日本人2,672人を調べた研究では、においのもとになるガスの濃度に男女の差は見られませんでした。年齢についても、ほかの要因の影響を除くと口臭が増える要因ではなく、関係していたのは舌苔と歯周病でした。性別や年齢より、口の中の状態を確かめることが大切です。
まとめ
男性の口臭の原因を整理すると、次のようになります。
- 口臭の大部分は口の中に原因があり、その多くは舌苔と歯周病
- 起床時や空腹時の口臭は誰にでもあり、歯磨きや食事、水分で弱まる
- 調査では、口臭に男女差は見られず、年齢そのものも要因ではなかった
- 自分の口臭は自分では判断しにくい。身近な人の指摘は手がかりになる
- 舌の清掃は起床時に1回、力を入れすぎない
- 洗口液などのケア用品の効果を支える根拠は限られている
- 続く口臭や歯ぐきの出血があれば、まず歯科へ。口以外の症状もある場合は医科での相談も
出典
厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の原因・実態」(最終更新日:2019年12月18日) 公式ページ
厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の治療・予防」(最終更新日:2019年12月18日) 公式ページ
日本口腔外科学会「口臭がひどい」(お口のトラブル相談室) 公式ページ
厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日、薬食発0721第1号) 公式ページ
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